エレクトロニクスの豆知識

電源ライン用 ノイズフィルターとは 



情報提供元:岡谷電機産業株式会社

1. 電源ラインノイズとは

「 ノイズ 」=「必要の無い信号」、望ましくない信号は何でも「 ノイズ 」と呼ばれています。
電源ラインノイズ(以下ノイズとする)とは、一般的に商用電源周波数(50Hz、60Hz)において、
規定の周波数以外(高周波成分)のものを指します。
電源ラインを対策することで、電子機器がノイズを放出し、
他の機器の誤動作を引き起こすことを防ぎ、また他の機器からのノイズで自らが誤動作することも防ぎます。

このような対策を考えることをEMC(Electromagnetic Compatibility=電磁適合性)と言います。


【 EMC = 電磁適合性 】


  • 外へ妨害するものを出さない→エミッションの対策
    (EMI=Electro Magnetic Interference)

  • 外からの妨害にある程度耐える→イミュニティの対策
    (EMS=Electro Magnetic Susceptibility)

[ EMCイメージ図 ]


2. ノイズの伝わり方

ノイズの伝わり方には、2種類あります。

これらのノイズの伝わり方を、電子機器を中心に説明すると下記の図のようになります。

 [ 輻射ノイズと伝導ノイズ ]



3. 電源ライン用 ノイズフィルタはなぜ必要?

電源ライン用 ノイズフィルタは別名、ノイズフィルター、ラインフィルタ、EMIフィルタとも呼ばれています。
電源ラインを伝わる伝導ノイズには、「スイッチングノイズ」「雷サージノイズ」等ありますが、
電源ラインノイズフィルタ(以下ノイズフィルター)は、
一般的には高周波ノイズである「スイッチングノイズ」の除去を目的としています。


[ ノイズフィルタの効力 ]


4. ノイズフィルターの回路構成

伝導ノイズは2種類に分けられます。


[ 伝導ノイズの伝わり方 ]


ノイズフィルターは基本的に、コンデンサとコイルが使用されています。
高周波に対するコンデンサのインピーダンスの低さと、コイルの高さの組み合わせにより、電源ラインに
商用電源周波数(50/60Hz)を通し、高周波分を除去するローパスフィルタ(LPF)を構成しています。


  • ① ノーマルモードチョークコイル
  • ② Xコンデンサ
  • ③ コモンモードチョークコイル
  • ④ Yコンデンサ

[ ノイズフィルターの回路構成例 ]

Xコンデンサは、主としてノーマルモードノイズを減衰させ、Yコンデンサは、主としてコモンモードノイズを減衰させます。


5. ノイズフィルター減衰特性評価方法

ノイズフィルターによる仕様上の減衰特性を静特性と言います。



  • 実線→ノーマルモード

  • 点線→コモンモード

[ ノイズフィルターの静特性 ]


減衰量(挿入損失)は、測定系インピーダンスを50Ωとし、
信号発生器(S.G)からの高周波をノイズフィルターに通し、その出力電圧値をレベルメータ(L.M)で読みます。

尚、実機での雑音端子電圧測定は、
動特性の評価となりますので、静特性の評価はあくまでも参考値となります。



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